急成長を経験した老舗IT企業が向き合う、リモート主体の健康施策〜社員に”届く”、健康の一次予防対策とは〜
管理本部 人事部 副部長 山川 貴一郎 様(左)
(同) シニアスタッフ 阪本 真理子様 (中央左)
(同) エキスパート/保健師 古川 洋子 様 (中央)
(同) 保健師 齊木 康衣様(中央右)
(同) 看護師 福庄 絵実 様(右)
国内の老舗IT企業であるネットワンシステムズ株式会社は「健康経営優良法人2025」に選定されるなど、健康経営の実現においてトップランナーとして取り組まれています。2024年からは、ポケットセラピストを導入いただき、運動習慣の向上や産業保健職のサポートツールとして、健康施策に効果的にご活用いただいています。
本日は、管理本部 人事部 副部長の山川様をはじめ、シニアスタッフの阪本様、保健師の古川様、齊木様、看護師の福庄様に、導入の背景や一次予防への活用方法について、詳しくお話を伺いました。
- 社名
- ネットワンシステムズ株式会社
- 事業内容
- ・世界の最先端技術を取り入れた情報インフラ構築とそれらに関連したサービスの提供
・戦略的なICT利活用を実現するノウハウの提供 - 設立
- 1988年(昭和63年)2月1日
- 資本金
- 122億79百万円(2025年3月31日現在)
- 従業員数
- 2,661人(2025年3月31日現在)
- 事業所
-
本社:東京都千代田区丸の内二丁目7番2号 JPタワー
事業所:17拠点 - URL
- https://www.netone.co.jp/
成長期を経て見えた課題──今、なぜ「健康」に投資するのか
はじめに、事業内容を教えてください。
山川様(以下、敬称略):我々は主に、ITインフラ分野で事業を展開しています。1988年にベンチャー企業として創業し、当初はネットワーク分野を中心に事業が始まりました。現在もネットワークが一番の強みですが、IT業界の変化に合わせて、サーバー、ストレージ、セキュリティなど、インフラ全体をほぼカバーできるように事業を広げてきました。
お客様は幅広く、官公庁、民間企業、通信キャリアなど多岐にわたります。特に、数万人規模のネットワークを必要とする大企業に対してサービスを提供しています。
「健康経営優良法人 大規模法人部門」に認定されるネットワンシステムズ様ですが、健康経営推進の背景を教えてください。
山川:当社は創業以来、急成長するIT業界の変化と共に成長を続けてきました。そのため会社全体として、ビジネスの成長や売上向上に注力する傾向が強く、労働時間などの健康的な働き方に対しては意識の薄さがあったと思います。数年前に、急成長を遂げてきた故の課題が露呈し、会社全体を見つめ直す大きな転換点がありました。そこで、社員一人ひとりの健康が、会社の持続的な成長に不可欠であるという認識に至り、健康経営に本格的に取り組むことを経営層が決定したんです。2022年に中期経営計画にも盛り込まれ、ここが会社として、健康経営に大きく舵を切ったタイミングです。

健康経営を進める中で、特に改善に注力している健康課題はございますか?
古川様(以下、敬称略):健康経営に大きく舵を切ったタイミングは2022年からですが、健康面に対する課題意識自体はずっとあり、健康推進を担当するチームも2005年から活動していました。当時は健康診断後の面談などが中心でしたが、コロナ禍以降では、リモートワークによって外出や運動の機会が減り、生活習慣にも変化が見られます。また、従業員の高齢化による身体的な不調を訴える社員も増えています。アンケート調査からも、4人に1人程度肩こりや腰痛を訴える社員がいることがわかりました。
また、近年、特に変化を感じているのがメンタルヘルスの課題ですね。
メンタルヘルスの課題が増加傾向にある原因はどのように分析されていますか。
古川:ここ数年、特にコロナ禍を経て働き方が大きく変わり、リモートワークが主体となったことが影響していると感じています。IT業界全体にも言えることかもしれませんが、リアルでのコミュニケーション機会が減少し、ちょっとした質問や相談がしにくくなったり、「文字だけでは伝わらない」「顔が見えない」といった状況が、特に若手社員や中途入社社員のストレスに繋がっているようです。誰かに気軽に「これってどうすればいいですか?」と聞ける場がなくなり、一人で抱え込んでしまうケースが見られます。管理職には部下のラインケアの研修を必須とするなど対策は講じていますが、このコミュニケーション課題は根深いですね。

健康施策を進める上での課題はございますか。
山川:休職者や復職者の個別対応が増えてしまうと、業務時間が圧迫され、健康経営施策の企画だったりができなくなってしまうことは大きな課題ですね。休職には至らなくても、面談回数や面談時間が増えることでも同様に、業務時間が圧迫されてしまいます。
チームとしては、健康経営の予防や改善、向上などの経営施策を担当してもらっているので、個別対応が増えてしまうと、先々の企画に手を出せなくなってしまいます。そうした状況や休職サイクルの繰り返し打破するためには、現状の改善・予防の両輪の取り組みの普及は課題だと感じています。
低利用率の課題を乗り越えるために──「支援を届けられること」が導入の決め手
ポケットセラピストの導入は、2024年からですね。
どういったきっかけから、ポケットセラピストをご検討いただいたのでしょうか。
阪本様(以下、敬称略):導入を検討していた時期は、もともとEAPサービスを探していました。そんなタイミングで、選択肢の一つとして古川からポケットセラピストを紹介してもらいました。

古川:そうですね。バックテックさんのプレゼンや資料を見る機会があったんです。他のメンタルヘルスに関する資料とは異なり、肩こりや腰痛といった身体的な課題を切り口にしたメンタルヘルス不調の予防や生産性向上へのアプローチという内容があったことに興味を持ち、ポケットセラピストの資料請求を行いました。その後、直接お話を伺う機会をいただいた時に、身体の痛みがメンタル不調に繋がっていく相関関係や、アブセンティーズム、プレゼンティーズムへの効果もデータやエビデンスに基づいて説明いただけたことは、私たち担当者だけでなく、経営層にも響きやすいと感じました。
また、当社の社員はリモートワークに慣れており、オンラインサービスへの抵抗が少ないため、いつでもどこでも利用できるオンライン形式であること、さらに自分で医療職(セラピスト)を選べるという点も、ITリテラシーの高い社員に受け入れられやすいと考えました。以前利用していたメンタルヘルスサービスは利用率が低かったのですが、ポケットセラピストであれば、身体の痛みという入り口があることで、社員が気軽に相談しやすいのではないかと期待しました。
相談できる時間帯の柔軟性や医療職の選択肢の豊富さも評価ポイントでした。また、サービス上で、プロフィールやコメントを見てセラピストを選ぶことができることも、普段からネットをよく利用する社員たちにはあっていると感じました。
身体の痛み起点のメンタルヘルスケアという部分に、特に興味を持っていただけたんですね。
阪本:そうですね、自分から「メンタルヘルス不調かもしれません」とは言い出しづらいですが、身体的な痛みだったら言えると思うんです。そこから原因を探る中で、メンタルヘルスを改善した方がいいかもと言ってもらえると、社員にとっても受け入れやすいですよね。
実際に「ちょっと肩こりがある」という形から相談させてもらってる人は多いと思います。
古川:これは、不調が深刻化する前、つまり一次予防の観点でも非常に重要ですよね。休職に至るほどの不調者であれば、現場から我々に情報が入ってきます。業務課題でもお伝えしたように、むしろそういった方達の対応に追われてしまい、なかなかメンタルヘルス不調の一次予防に踏み込むことができていなかったことも、導入の背景にありました。
課題に応じて届ける──社員の状況に寄り添った伝え方の工夫
多くの方にポケットセラピストを使っていただいていますが、どのように活用・推奨されてるのでしょうか。
古川:主な推奨方法としては、健康診断後の面談で、社員の健康課題に合わせてポケットセラピストをご紹介しています。メンタルヘルスの相談を受けた際や、肩こりや腰痛等身体的な不調もある場合に案内するようにしています。
また、メンタルヘルス不調者には認知行動療法を進める場合もありますが、ポケットセラピストには心理士の方もいるので、受診に踏み切れない社員にも紹介しています。

一次予防としてポケセラを活用いただくための工夫があれば教えてください。
齊木様(以下、敬称略):社内アンケートで40代以上の社員に肩こりや腰痛が多いという結果が出たため、その層をターゲットに「ポケットセラピストを使ってみませんか」と個別にメールでご案内したところ、すぐに利用登録率が上がりました。AI姿勢健診のようなイベントと連携させて案内することも効果的だと感じていますし、健康状態や興味・関心にあわせた案内は反応が得られやすいです。
また、リモートワーク中心で外出が少ない方、育児をしながらリモートワークをしていて自分のケアに手が回らない方など、それぞれの状況に合わせて個別にご案内することも多いですね。チャット等で身体の不調の相談があれば、ポケットセラピストの申し込みURLを直接送ることもあります。病院に行くほどではないけれど、専門家のアドバイスが欲しいという社員にとって、非常に利用しやすい窓口になっていると思います。

現場の声と経営の視点をカバーするー人事・産業保健職を支える“心強い伴走者”として
ポケットセラピストを実際に導入されての、皆様の効果や評価ポイントをお伺いさせてください。
まずは産業保健・産業看護職の皆様はいかがでしょうか。
福庄:産業保健職の私たちとしては、専門的な運動指導などの相談に対応してもらえることがとても助かっています。
ポケットセラピストは、きめ細やかなケアや専門知識などの手が回らない部分をカバーしてくれるので、産業保健職の活動をサポートしてくれるため心強いです。
古川:以前より相談する人数が増えたことが、嬉しかったですね。社員の声としても、「良かったよ」と言っていたり、何度か継続して面談を受けている社員がいるなど利用率が高いことも評価ポイントだなと思っています。
齊木様(以下、敬称略):やはり医療職に相談ができるというところが強いのかなと思っています。面談をしていても、受診するほどじゃないけれど、ちょっと悩んでいるみたいな話を聞くことが多いため、そういった時に勧めやすいです。
産業保健職と理学療法士などのリハ職の方々では、視点も違うと思います。指導方法は、色々な視点からアドバイスがあると本人にも良いと思うので、そういうところですごく活用させていただいています。

人事のお二人はいかがでしょうか。
阪本:個人的な利用者の感想として「ポケットセラピストはなくならないでほしい」という声を聞きました。何度も面談を利用している社員なのですが、担当のセラピストの方と信頼関係を構築していて、単なるサービス利用を超えて、医療職による伴走支援が個人の心に深く寄り添えている証拠だと感じ、大変嬉しく思いました。
山川:利用者全体のデータは、まだ十分活用しきれていない部分もありますが、どういった不調が多いかといった傾向や労働生産性損失額の可視化ができることは、経営メンバーにも効果として伝えやすいですし、今後の施策立案の参考になると期待しています。
また、ポケットセラピストの運用スタッフの皆さんの支援体制も評価しています。利用拡大や活用の後押しをしてくれるので非常にありがたいです。利用率も徐々に上がってきています。

最後に、今後のバックテック社・ポケットセラピストへの期待をお伺いしたいです。
阪本:いつもいいアイデアをいただいていますが、ウォーキングイベントやセミナーなど、社員が「面白い」「参加してみよう」と思えるような企画を一緒に実施できると周知にもなりますし、嬉しいですね。特に、全国に拠点があるので、東京だけでなく地方の社員も参加できるようなイベントやプログラムがあれば、地域間の健康格差をなくす上でも大きなインパクトがあると考えています。バックテックさんは全国に医療職がいらっしゃると聞いているので、ぜひその強みを活かしたご提案をいただきたいです。
山川:東京本社には8割近く社員がいるため、取り組みのメインが東京になってしまう。そのため、地方社員にももう少しメリットを感じてもらえるようなご提案をいただければと思っています。東京は組織が多く分かれているので、地方拠点の方が意外と認知しやすく、健康施策に取り組む方が反響やインパクトがあるのではないかと思っています。
そのほかの点では、労働生産性などの改善数値が分析されていることは非常にありがたく、導入時の決め手でもありました。一方で、もっとシンプルな見せ方になっていくと経営層にも説明しやすくインパクトが出せるとも感じています。