【最新版】令和7年度エイジフレンドリー補助金活用ガイド:高齢者安全対策で健康経営を推進
高年齢労働者の労災事故が増える中、企業はどう備えるべきか?
令和7年度エイジフレンドリー補助金の概要、対象となる取組とメリット、申請条件やスケジュール、健康経営への活用ポイントをわかりやすく解説します。
エイジフレンドリー補助金の申請要件についてカンタンまとめ!
- エイジフレンドリー補助金(令和7年度)は、高年齢労働者の労災防止策に対して最大100万円の助成が受けられる中小企業向け制度です。4つのコースを通じて、リスクアセスメント、設備改善、運動指導、健康増進策への支援が得られます。
- 補助金申請スケジュールは、2025年5月15日から同年10月31日まで。予算額に達した場合、期間途中でも受付終了の可能性もあり。
- 申請要件は、中小企業であり、申請時点で1年以上事業継続し、かつ60歳以上の労働者を常時1名以上雇用している事業場。
※交付決定前に着手した費用は補助されないなど注意も必要です。事前に要件を確認し、早めに準備を進めましょう!
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それでは、以下のより令和7年度エイジフレンドリー補助金についての概要や具体的要件を解説していきます。
目次
エイジフレンドリー補助金とは?
日本の労働人口に占める高年齢労働者(60歳以上)の割合は年々増加しており、2023年時点で全雇用者の約5人に1人(18.7%)を占めています。それに伴い高年齢労働者の労働災害も増加傾向にあり、休業4日以上の死傷者に占める60歳以上の割合は約3割(29.3%)に達しています[1]。実際、60歳以上の労働者の労災事故件数は直近8年間連続で過去最多を更新しており、転倒や墜落といった重大事故のリスクが高まっているのが現状です。こうしたシニア世代の労災事故の主な要因は加齢による体力や反射神経の低下とされ、実際に「濡れた床で滑って転倒し骨折」「わずかな段差につまずいて重傷を負う」といった事例も報告されています。
こうした背景を受けて、厚生労働省は2020年に「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」を策定し、企業に対しシニア向け安全対策の充実を呼びかけています[2]。同ガイドラインでは設備・装置の改善によるハード面の対策(例:段差の解消、手すり・スロープ設置、警報音を高齢者に聞き取りやすくする工夫等)と、働き方の配慮などソフト面の対策(例:健康状態に応じた勤務時間帯や作業ペースの調整等)の両面から、高齢者が安心して働ける職場づくりを提言しています。しかし厚労省の調査によれば、60歳以上の社員が在籍する企業は約8割にのぼる一方で、高年齢労働者の労災防止策に取り組む企業は2割にも満たないのが実情です。「自社のシニアはまだ元気だから大丈夫」という認識から対策が後回しにされ、高齢社員に内在するリスクが十分に認識されていないケースも少なくありません。
そこで注目したいのが、厚生労働省の「エイジフレンドリー補助金」制度です。これは、高年齢労働者の労災防止に資する設備投資や専門家による指導などに対して国が費用の一部を補助する制度で、令和7年度(2025年度)も引き続き実施されます。本記事では、この令和7年度エイジフレンドリー補助金の制度概要、対象となる取り組み内容と企業にもたらすメリット、補助対象経費・申請要件・スケジュール、そして補助金を活用した健康経営施策への展開例やすぐに実践できる社内制度・福利厚生のヒントを分かりやすく解説します。企業全体の安全水準向上と従業員個人の健康増進の双方に有益な本制度を上手に活用し、自社の健康経営をさらに推進するきっかけとしていただければ幸いです。
補助金の概要
「エイジフレンドリー補助金」は、高年齢者を含む労働者が安心して安全に働ける職場づくりを支援するため、企業による高年齢労働者の労働災害防止策や転倒・腰痛予防の運動指導、コラボヘルス等の健康増進の取組に対して補助を行う制度です。令和7年度(2025年度)も本補助金の公募が行われており、補助金申請受付期間は2025年5月15日から同年10月31日までと発表されています(※予算額に達した場合、期間途中でも受付終了の可能性あり)[3]。
今年度は4つのコースが用意されており、企業の課題に応じていずれか1つのコースを選択して申請します(同一年度内に複数コースを併願することはできません)。各コースの詳細は後述しますが、例えば専門家によるリスクアセスメントと優先対策の実行を支援する「総合対策コース」、高齢者向けの設備改良を支援する「職場環境改善コース」、転倒・腰痛予防の運動プログラム実施を支援する「運動指導コース」、健康スコアリングデータを活用した健康増進策を支援する「コラボヘルスコース」など、それぞれ対象とする施策分野が分かれています。補助率(企業負担割合)や上限額もコースごとに異なり(図参照)、最大で補助率4/5・上限100万円の手厚い助成が受けられます。

この補助金の対象は主に中小企業事業者ですが、申請にはいくつかの条件があります(詳細は後述の「申請条件」参照)。申請内容は書類審査により「高年齢労働者の雇用状況や計画の有効性」が評価され、効果が見込まれると認められた場合にのみ交付決定されます。全ての応募者が必ず補助を受けられるわけではない点に注意が必要です。また、本事業の実施主体は厚生労働省ですが、申請受付や相談対応、審査・支払事務は厚労省から委託を受けた一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会(エイジフレンドリー補助金事務センター)が担当しています。
対象となる取り組みと企業メリット
エイジフレンドリー補助金で支援される取り組みは多岐にわたりますが、代表的なものを以下に紹介します。それぞれ、企業にとっての効果(事故削減や生産性向上等)と従業員個人にとってのメリット(安全性向上や健康増進等)の両面から恩恵があります。
- 専門家によるリスクアセスメントと安全対策の実施: 労働安全衛生の専門家が現場を診断し、高年齢労働者の特性を考慮したリスクアセスメントを実施した上で、その結果に基づく優先度の高い労災防止策(機械設備の導入、作業場の工事改修等)を提案・実行するものです。第三者視点の評価で従来見落としていた危険箇所を洗い出し、効果的な対策投資につなげられる点が企業側のメリットです。現場の事故リスク低減により高年齢社員が安心して働ける環境を整備でき、労災発生による休業損失や人材喪失を防ぐ効果が期待できます。一方、従業員にとっても自分たちでは気づきにくいヒヤリハット(ニアミス事例)の原因が除去され、安全意識の向上にもつながります。
- 高齢者に配慮した設備・作業環境の改善(熱中症対策含む): 高年齢労働者の身体機能の低下や感覚機能の衰えを補うための設備・装置を導入したり、作業環境を改善したりする取り組みです。例えば、工場や倉庫内の段差を解消して転倒を予防する、安全柵・手すりを設置する、床や通路に滑り止め加工を施す、暗い作業エリアの照明を増強するといった物理的な環境整備が挙げられます。夏場の屋外作業や高温環境下で働く現場では、熱中症予防対策も重要です。補助金の対象として、スポットクーラーやミストファンの導入、暑さ指数(WBGT)モニターの設置など、熱中症リスクの高い高年齢者のための設備導入も支援されます。これらの環境改善策によって、企業は労災事故(つまずきによる転倒、熱中症による救急搬送など)の発生リスクを大幅に低減できます。また、高年齢社員が無理なく働ける職場は、生産性の維持向上やベテラン人材の戦力化にも寄与します。従業員個人にとっても、身体への負担が軽減し怪我や疾病を予防できるため、長く健康に働き続けられるメリットがあります。
- 転倒防止・腰痛予防のための運動プログラム: 作業中の転倒事故や腰痛障害を防止するため、理学療法士やトレーナー等の専門家を招いて従業員に対し運動指導を実施する取り組みです。具体的には、バランス能力を高めるストレッチや筋力トレーニング、腰痛を予防する体幹強化エクササイズなどを、複数名の従業員グループ(役員を除き、原則5人以上)で一定期間継続して受講します。企業にとって、このようなプログラム導入は高年齢労働者の転倒災害や慢性腰痛による欠勤・休職を減らす効果があります。運動習慣の定着は従業員の健康寿命を延ばし、結果的に定年延長時代における労働力の確保にもつながります。従業員側にとっても、会社の支援で専門的な運動指導を受けることで、自身の体力の衰えを自覚しつつ無理なく改善できる点がメリットです。日々の疲労や痛みの軽減、趣味や日常生活にも役立つコンディション作りなど、仕事以外の面でも健康増進効果が期待できます。

- 健康スコアリングデータを活用した健康増進施策(コラボヘルスの推進): 企業の健康保険組合等が提供する事業所カルテや健康スコアリングレポート(企業単位の健康診断データ分析レポート)を活用し、従業員の健康保持増進を図る取り組みです。例えば、健診データを分析してハイリスク者に保健指導を行う、生活習慣改善の社内キャンペーンを展開するといった施策が考えられます。補助金のコラボヘルスコースを活用すれば、これらの取組に要する外部講師謝金やシステム導入費用の一部が支援されます。企業にとって、従業員の健康意識と健康度を底上げすることは、将来的な病欠や医療費の削減、生産性の向上につながる投資です。また、健康経営の一環として社内外にアピールでき、従業員の定着率向上や企業イメージ向上といった副次的効果も期待できます。従業員個人にとっても、会社からの働きかけで自らの健康課題に気づき、専門家のアドバイスを得ながら改善行動を起こせるため、生活習慣の是正や持病の悪化予防といったメリットがあります。

補助対象経費、申請条件、スケジュール
補助の対象経費: 本補助金で補助の対象となる経費は、基本的に高年齢労働者の労災防止に直接寄与する取り組みに要する費用です。具体的には、前章で挙げたような安全装置・支援機器の購入費、作業環境の改善工事費、外部専門家への委託費(コンサルタント料・講師謝金等)、研修やプログラムの実施費、健康増進システムの導入費などが該当します。一方、日常の人件費やオフィスの光熱費といった間接経費は補助対象外です。また、設備等のリース費用や従業員を外部研修に派遣する際の旅費なども補助対象になりません。補助対象経費の具体例や対象外事項については厚労省公開のQ&A資料に詳細が示されているため、申請前に確認するとよいでしょう。
申請できる企業の要件: 中小企業(製造業で概ね従業員300人以下等)であり、申請時点で1年以上事業継続し、かつ60歳以上の労働者を常時1名以上雇用している事業場が対象です。なお、過去に同様の対策で補助を受けた場合は原則再申請できません。

申請から交付・実施までの流れ: 交付決定通知前に機器発注や工事開始をしてしまうと補助対象外となるため注意が必要です。交付決定後に対策を実施し、事業完了後に実績報告・支払請求を行えば補助金が支給されます。最終的な支払請求期限は翌年1月末です。

令和7年度エイジフレンドリー補助金活用についてのまとめ
日本の労働現場において、高年齢労働者の安全と健康を守る「エイジフレンドリー」な取り組みは今後ますます重要性を増すでしょう。政府もガイドライン策定や補助金制度によって企業の支援に乗り出しており、近い将来には高年齢者向け労災防止策の実施が企業の努力義務として法令上位置付けられる見通しです。令和7年度エイジフレンドリー補助金は、中小企業にとって高年齢労働者の安全投資・健康投資を後押しする絶好の機会と言えます。
最後に、本記事の要点を整理します。
- エイジフレンドリー補助金(令和7年度)は、高年齢労働者の労災防止策に対して最大100万円の助成が受けられる中小企業向け制度です。4つのコースを通じて、リスクアセスメント、設備改善、運動指導、健康増進策への支援が得られます。
- 補助金申請スケジュールは、2025年5月15日から同年10月31日までと発表されていますが、予算額に達した場合、期間途中でも受付終了の可能性があります。
- 要件は、中小企業であり、申請時点で1年以上事業継続し、かつ60歳以上の労働者を常時1名以上雇用している事業場が対象となります。
- 補助金を活用した具体的取り組みとして、専門家による職場診断と優先対策の実施、高齢者に配慮した設備投資(段差解消・手すり設置・熱中症対策機器導入等)、転倒・腰痛予防の運動プログラム実施、健康データを活用した生活習慣改善支援などが挙げられます。これらは企業にとって労災削減・生産性向上、従業員にとって安全性・健康状態の向上という双方にメリットがある施策です。
- 申請には中小企業であることや60歳以上の労働者の在籍など条件があります。交付決定前に着手した費用は補助されないなど注意も必要です。事前に要件を確認し、早めに準備を進めましょう。
多くの業種で人手不足が懸念される中、ベテラン社員が能力を発揮しながら長く働ける環境整備は、労働力確保と技術継承の面でも大きなメリットがあります。
ぜひ本記事の内容を参考に、社内の安全衛生・健康施策を見直し、必要に応じてエイジフレンドリー補助金の活用も検討してみてください。
引用・参考
一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会「令和7年度エイジフレンドリー補助金」公式サイト https://www.jashcon-age.or.jp/
[1] 厚生労働省「令和5年 高年齢労働者の労働災害発生状況」(安全衛生部安全課, 令和6年5月公表) https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001099505.pdf
[2] 厚生労働省 エイジフレンドリーガイドライン(高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン) https://www.mhlw.go.jp/content/001107783.pdf
[3]厚生労働省「エイジフレンドリー補助金」公式ページ(令和7年度版)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09940.html
[4] 厚生労働省「令和7年度エイジフレンドリー補助金」のご案内(パンフレット)https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001488063.pdf
[5] 厚生労働省「令和7年度エイジフレンドリー補助金 Q&A」(令和7年5月15日付 初版)https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001487042.pdf



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