【中小規模法人編】 健康経営FBシートが返ってきたらまずやること:担当者が持つべき視点とネクストアクション
健康経営優良法人認定制度において申請後、12月を目処に企業の手元に届く「健康経営フィードバックシート」。このシートは、単なる結果通知ではなく、自社の健康経営の「現在地」を知り、次の戦略を練るための羅針盤です。
しかし、「施策を考えてもうまく動かせない」「結局、何をすればいいの?」と戸惑う担当者の方も少なくありません。
この記事では、中小規模の企業の皆様がフィードバックシートを最大限に活用し、成果に繋げるために大切な視点とネクストアクションの具体例を解説します。
目次
健康経営フィードバックシートとは?その役割と目的
健康経営の取り組みを「見える化」し、PDCAサイクルにおける「Check(評価)」の段階を担う、極めて重要なツールなのです。特に以下の2つの重要な役割を果たします。
- 自社の立ち位置の把握: 他社との比較や、審査基準に対する達成度を通じて、自社の健康経営のレベルを客観的に把握できます。
- 次年度のアクションプラン策定の土台: 認定の可否に関わらず、優れている点、改善が必要な点が明確になるため、来年度以降の健康経営戦略の優先順位付けと、具体的なアクションプラン策定の重要なデータとなります。
中小企業担当者必須の2つの大切な視点👀
📌 経営層への迅速な報告と「経営言語」でのコミットメント確保
フィードバックシートの結果は、まず経営層に報告しますが、その「伝え方」が最も重要です。経営層からのコミットメントは健康経営の推進において必要不可欠です。施策への予算と人員を確保し、全社的な取り組みとして推進する土台を作ります。

取り組み状況で平均偏差値(50)を下回る項目の説明とともに、「健康経営推進による企業ブランド価値の向上」や「投資対効果(ROI)の視点」の説明もできると良いでしょう。「現在は欠勤により年間〇〇円の生産性損失額があり、健康経営推進・従業員の健康増進により欠勤日数が減らせると〇〇万円のコスト削減する可能性がある」というように報告します。

欠勤による生産性損失(アブセンティーズム)は「平均欠勤日数 × 人件費」で概算を出すことができます。日本企業におけるアブセンティーズムの平均日数は2.6日とされているので、まずは「2.6日 × 1日あたりの人件費 」で計算してみると良いでしょう。(引用:中小企業における労働生産性の損失とその影響要因)
中小規模の企業だからこそ、大企業と比べて経営層との距離が近い・コミットメントを得られやすいと前向きに考え、納得してもらえる説明の準備をしましょう。
📌 具体的な「スモールスタート目標」の設定とPDCAサイクルの構築
経営層のコミットメントが得られても、従業員から関心を持ってもらえなければ施策は成功しません。
警戒心の強い従業員は、ウェルネスプログラムは、宣伝が目的だと捉えていたり、プログラムが自分にとって有益であっても、従業員のウェルビーイングへの配慮というよりも法令遵守や医療費削減・生産性向上などの経営上の目的だと警戒したりするため、ウェルネスプログラムに参加することが少ないかもしれません.
Prof. Robert Eisenberger
従業員意識の未醸成を前提に、まずは「簡単で、楽しく、効果が見えやすい」目標を設定し、成功体験を作ることが大切です。担当者も従業員も無理なく続けられる、持続的な仕組みを検討しましょう。
「メンタルヘルスに関する研修参加率を80%に向上させる」といった目標だけでなく、「今週は〇〇部のメンバー全員が定時で退社する日を1日設ける」「休憩時間に5分間のストレッチを導入する」といった、現場の従業員が「小さな達成感」を感じられる具体的かつ短期的な目標を組み合わせます。
ネクストアクション:はじめの一歩🐾
続いて、具体的に各項目別のネクストアクションのはじめの一歩の例をご紹介します。
例1. 「心の健康保持・増進に関する取り組み」の改善
外部EAPサービスや研修の導入を検討する際、まずは複数の提供会社から見積もりや資料請求を行いましょう。提供方法や機能(オンライン/オフライン、夜勤帯の従業員が参加できるか、会社メールアドレスの必要性など)を比較することで、自社の従業員の特性やアクセス環境に合ったサービスが見えてきます。

また、研修導入時は、単なる知識提供で終わらせず、ストレスチェックの結果と連動させて、「特にこの部署(またはこの年代)に力を入れる」といったターゲットを絞った実施を検討すると、限られた予算の中でも効果を最大化できます。
例2. 特定保健指導の実施率が低い場合
実施率向上のボトルネック(原因)を、ヒアリングやアンケートで特定します。「健診結果が会社に知られる不安」「指導を受ける時間がない」など、従業員側の心理的・物理的ハードルを把握しましょう。

その上で、産業保健スタッフと連携し、「指導時間の柔軟な設定(始業前や昼休憩など)」「オンライン指導の積極的な活用」「指導内容の守秘義務に関する徹底的な周知」など、従業員が「受けやすい」と感じる環境整備に注力します。特に中小企業では、産業医や保健師の訪問日を増やせない場合、外部のオンライン保健指導サービスも選択肢に入れると、対応できる幅が広がります。
例3. ワークライフバランスの項目が低い場合
リソースの限られた中小企業では、全社一律で勤務時間を厳しく制限するのが難しい場合もあります。まずは勤怠データと従業員の健康状態(ストレスチェック結果や残業時間)を掛け合わせて、特に業務負荷が高い「特定の部署やチーム単位」から勤務時間制限や有給取得促進の試験導入を始めるなど、スモールスタートで話し合いを進めます。

就業規則の変更(例:計画的付与制度の導入)が必要になるケースでは、法令遵守のため社会保険労務士と連携して進めることで、スムーズかつ確実な制度設計が可能です。また、時間管理能力を向上させるための管理職向け研修の実施も、有効な一歩となります。
まとめ
せっかく提出した健康経営度調査票。フィードバックシートはただ読むだけでなく、具体的なアクションへ繋げることが重要です。そのためにまずは、すぐにできる小さなネクストアクションから始めていきましょう。
一方、健康経営優良法人認定を目指す上では、フィードバックシートの課題を自社だけで解決するには限界があるかもしれません。特に「メンタルヘルス対策」や「具体的な生産性向上への結びつけ」は、専門的な知見や第三者の客観的な視点が必要です。
「ポケットセラピスト」は、中小企業の心身の不調対策を始めとし、サーベイや、セミナー/研修などさまざまなソリューションで、健康経営の推進をお手伝いしています。




