健康経営優良法人認定制度(大規模法人部門)の要点とSDGs・ESG

新型コロナウイルスの世界的大流行は、多くの企業、国民が健康であることがいかに大切かを改めて実感するきっかけになりました。日本では、経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課が中心となり、平成26年度(2014年)から健康経営顕彰制度を開始し、年々、大企業・中小企業ともに健康経営に取り組む企業が右肩上がりに増加しています。

令和3年度の健康経営度調査(大規模法人部門)においては、日経平均株価を構成する225社の84%が健康経営度調査に回答しており、健康経営優良法人認定の取得を目指したり、健康経営優良法人(大規模法人部門)の上位500社が選ばれるホワイト500の新規取得、および、継続取得を目指す企業が増加していることが分かります。健康経営優良法人の認定を取得すれば、従業員の離職率の低下や人材採用の活性化、機関投資家からの外部評価の向上などが期待できるため、サスティナブルな事業成長を達成するためには、健康経営が必須な取り組みになってきています。

この記事では、健康経営優良法人認定制度(大規模法人部門)の要点を整理し、SDGsやESGとの関連性、健康経営と企業価値・株価との関連性について、詳しく解説します。

健康経営®︎・健康投資とは

健康経営とは、日本再興戦略、未来投資戦略に位置づけられた「国民の健康寿命の延伸」に関する取り組みの一つであり、「健康経営」という言葉は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

経済産業省によると、「健康経営とは、従業員等の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること」と定義がされています。企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されています。

経済産業省では、健康経営に係る各種顕彰制度として、平成26年度(2014年)から「健康経営銘柄」の選定を行っており、平成28年度(2016年)には「健康経営優良法人認定制度」を創設しました。優良な健康経営に取り組む法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業」として社会的に評価を受けることができる環境を整備しています。

健康投資とは、健康経営の考え方に基づいた具体的な取組であり、令和2年6月に、企業等における健康経営の取り組みをさらに促進するために策定された「健康投資管理会計ガイドライン」の構成要素としても記載されています。

健康投資管理会計は、「健康投資」「健康投資効果」「健康資源」「企業価値」「社会的価値」の5つの構成要素によって構成されており、これらの要素は企業等の経営課題・目指すべき姿との結びつきを示す「健康経営戦略」によって一元的に管理できる考え方となっています。健康経営において、健康投資管理会計の実施を義務付けるものではないものの、既に作成している企業は50社以上あり、今後作成する予定がある企業は300社を超えると報告されています。

健康投資管理会計には、作成準備のための作業用フォーマット(Excel形式)が用意されており、「戦略マップ(健康投資の見える化)」「健康投資作業用シート」「健康投資シート(健康投資の見える化)」「健康投資効果シート(投資効果の見える化)」「健康資源シート(健康資源の見える化)」から構成されています。なかなか作成を進めても、悩む点が多いと思いますが、そんな方のために、管理会計を作成する際の具体的な留意点等をQ&A形式で解説するものとして、健康投資管理会計実践ハンドブックが令和3年3月に公開されていますので、ぜひご参照ください。

(出典:健康経営の推進について. 経済産業省 ヘルスケア産業課. 令和4年6月より転用)

▶︎健康投資管理会計 実践ハンドブック(WEB閲覧用:見開き)(PDF形式:5,355KB)
▶︎健康投資管理会計 実践ハンドブック(印刷用:片開き)(PDF形式:5,371KB)

経済産業省の健康経営優良法人認定制度と令和4年度の方針

健康経営優良法人認定制度とは、地域の健康課題に即した取組や日本健康会議が進める健康増進の取組をもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度です。

健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的に評価を受けることができる環境を整備することを目標としています。

本制度では、大規模の企業等を対象とした「大規模法人部門」と、中小規模の企業等を対象とした「中小規模法人部門」の2つの部門により、それぞれ「健康経営優良法人」を認定しています。部門の区分に関しては、下記を参照ください。

(出典:健康経営の推進について. 経済産業省 ヘルスケア産業課. 令和4年6月より転用)

「健康経営優良法人」に認定されると、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的な評価を受けられます。また、「健康経営優良法人」ロゴマークの使用が可能となります。

(c)METI

そのほか、健康経営優良法人や健康経営に取り組む企業向けに、自治体や金融機関等においてさまざまなインセンティブがあり、東京商工会議所のサイトに全国のインセンティブ制度が分かりやすくまとめられています(東京商工会議所サイト)。

従業員の定義について

部門の区分を考える際に、「従業員」の定義に迷うことがありますが、まず、大前提として「常時使用する従業員」(労働基準法第20条の規定に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」)は対象者として含める必要があります。以下に、該当する労働者以外は全て含めることとされています。

• 日日雇い入れられる者(一箇月を超えて引き続き使用されるに至った場合は含める)
• 二箇月以内の期間を定めて使用される者(所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合は含める)
• 季節的業務に四箇月以内の期間を定めて使用される者(所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合は含める)
• 試の使用期間中の者(十四日を超えて引き続き使用されるに至った場合は含める)

なお、契約社員、パート・アルバイト、他社からの出向者、他社からの派遣社員等については、「常時使用する従業員」に当たらない場合であっても、健康経営の施策(食生活の改善に向けた取組、運動機会の増進に向けた取組等)の対象となっている場合は、健康経営優良法人認定制度における「従業員」に含めることができます。

令和4年度の健康経営優良法人認定制度の方針

健康経営の更なる普及に向け、民間事業者の創意工夫を活かした認定制度の運営を行う観点から、経済産業省では、今年度から民間の運営主体に対して補助金を交付する形に変更しています。応募のあった2つの事業者の中から審査の結果、株式会社日本経済新聞社が採択されています。

日本経済新聞社は、健康経営に関するあらゆる情報を幅広く発信していくため、健康経営優良法人認定事務局ポータルサイト「ACTION!健康経営」を立ち上げています。
なお、今年度の認定申請に関する詳細については、7月下旬を目途にお知らせがある予定ですが、先行して、下記のように、認定申請を有料化する方針を公表しています。

【健康経営優良法人2023(大規模法人部門)】
◎認定申請料 80,000円(税込88,000円)/件
※グループ会社との合算で申請する場合、申請主体となる法人80,000円(税込88,000円)に加え、同時認定の対象となる合算1法人あたり15,000円(税込16,500円)を加算。
※健康経営度調査への回答のみを行う場合、フィードバックシートをお渡ししますが、認定審査は行いませんので、認定申請料不要とします。

【健康経営優良法人2023(中小規模法人部門)】
◎認定申請料 15,000円(税込16,500円)/件

さらに、日本経済新聞社は、下記をはじめとする「健康経営」の普及啓蒙活動を通じ、認定法人のさらなる健康経営の推進・企業価値向上に貢献していく方針のようです。

<今年度の事業実施予定>
・健康経営の実務担当者への情報提供を目的としたセミナーの開催
・中小規模法人部門において、認定申請前に要件適合状況についての簡易な自己チェックが可能となるサポートの提供
・健康経営に取り組む法人の認知度やブランドの向上に資する大型イベントの開催
・日本経済新聞をはじめとする各種メディアでの健康経営に関する継続的な情報発信、法人規模や地域・業種別に他社の手本となる健康経営優良法人認定法人の紹介
・経済界や金融市場に対する健康経営の意義の訴求、就職活動を控える学生や転職者などに対する健康経営の認知拡大のための情報発信
・日本の健康経営の取り組みを海外に発信する国際シンポジウムの開催

健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定要件

健康経営優良法人(大規模法人)の認定要件(2022年度)は、「経営理念・方針」「組織体制」「制度・施策実行」「評価・改善」「法令遵守・リスクマネジメント」の5つから構成されています。

(出典:健康経営の推進について. 経済産業省 ヘルスケア産業課. 令和4年6月より転用)

それぞれの側面において、下記の通り、配点が決まっているため、ホワイト500を目指す際は、健康経営の取り組みを企画立案するタイミングから、配点を意識しておきましょう(令和3年度健康経営度調査の配点)。

(出典:健康経営の推進について. 経済産業省 ヘルスケア産業課. 令和4年6月より転用)

また、他社と自社を比較したい場合は、下記に令和3年度健康経営度調査に基づく2,000社分の評価結果(フィードバックシート)が公開されていますので、自社の立ち位置を認識する上でも、参考にしていきましょう。

▶︎2,000社分の評価結果データ一覧
▶︎令和3年度健康経営度調査のサンプル
▶︎フィードバックシートのサンプル

認定要件において、ホワイト500の認定取得を目指す場合は、必須で該当しなければいけない項目があるなど、要件が厳しくなっていますので、下記にて、詳細をチェックしましょう。

(出典:健康経営の推進について. 経済産業省 ヘルスケア産業課. 令和4年6月より転用)

なお、下記のリンクには、健康経営度調査2022(大規模法人部門)における認定企業が一覧で公表されており、ホワイト500認定企業の情報もまとめられていますので、ご参照ください。

▶︎健康経営優良法人2022(大規模法人)認定法人一覧

健康経営優良法人の申請から認定までの流れ

令和4年度から、運営主体が日本経済新聞社になったことで、申請から認定までの流れが変更になる可能性がありますが、健康経営優良法人2022の認定フローは下記の通りです。認定申請に関する詳細については、例年同様、7月下旬を目途にお知らせがある予定です。

(出典:健康経営の推進について. 経済産業省 ヘルスケア産業課. 令和4年6月より転用)

▶︎令和4年度「健康経営制度運営事業費補助金」に係る補助事業者の採択結果について

健康経営優良法人の申請スケジュール

健康経営優良法人の申請スケジュールに関しても、運営主体が日本経済新聞社になったことで、変更が生じる可能性がありますが、下記が健康経営優良法人2022の申請スケジュールです。

(出典:健康経営の推進について. 経済産業省 ヘルスケア産業課. 令和4年6月より転用)

今後、健康・医療新産業協議会 健康投資ワーキンググループでの議論を踏まえて、2023年度の詳細を決定するということですので、健康投資ワーキンググループの情報は日頃からチェックしておきましょう。

▶︎健康投資ワーキンググループ

健康経営と企業価値の関係性

ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)では、75年前に作成された”Our Credo”において、全世界のグループ企業の従業員および家族の健康や幸福を大事にすることを表明し、健康経営に対する投資1ドルに対するリターンが3ドルになると調査結果を出しています。

(出典:健康経営の推進について. 経済産業省 ヘルスケア産業課. 令和4年6月より転用)

経済産業省では、健康経営の効果が現れるフローは下記のように整理しています。

(出典:健康経営の推進について. 経済産業省 ヘルスケア産業課. 令和4年6月より転用)

より詳細まで解像度をあげて、健康経営と企業価値の関連を見ていくと、下記の図のように、健康経営の効果を①心身の健康関連(個人の心身の健康状態の改善による生産性の向上)、②組織(組織の活性化)、③企業価値(企業価値の向上)の3つに分類され、フローが整理されています。

(出典:健康経営の推進について. 経済産業省 ヘルスケア産業課. 令和4年6月より転用)

厚生労働科学研究費補助金(労働安全衛生総合研究事業)として実施された「企業の資産形成・生産性向上との関係の経済学的検証」において、研究分担者 山本勲 慶應義塾大学商学部 教授は、健康経営実施企業は非実施企業よりも期間を問わず、企業価値が1.8〜2.1倍程度大きいと報告しています。

(出典:企業の資産形成・生産性向上との関係の経済学的検証. 山本勲 慶應義塾大学商学部 教授. 2022)

▶︎企業の資産形成・生産性向上との関係の経済学的検証

健康経営と企業業績・株価の関係性

日本経済新聞グループが推進している日経Smart Workプロジェクトの一環として、日本経済新聞社と日本経済研究センターが共同で運営し、学識経験者等が参画する「スマートワーク経営研究会」が行われており、平成30年6月に中間報告として「働き方改革と生産性、両立の条件」という調査レポートが発表されています。

このレポートの中で、スマートワーク経営調査の個票データをパネルデータ化し、健康経営を含む働き方改革に関する施策と企業の利益率との関係を検証したところ、健康経営については、ROA(総資産経常利益率)とROS(売上高営業利益率)のいずれでも、実施の少し後に利益率が上昇している状況が見られるため、健康経営を実施することでラグを伴って利益率が上昇するプラスの効果が現れる可能性が示唆されること、また、健康経営による効果はすぐ顕現化せず、2年のラグを伴うということが報告されています

(出典:企業の資産形成・生産性向上との関係の経済学的検証. 山本勲 慶應義塾大学商学部 教授. 2022)

また、健康経営を開始した年を「0」とした際の、5年前から5年後までの売上高営業利益率の業種相対スコア(業種内において健康経営を推進した企業の利益率が相対的に高いか低いかを把握する指数)の平均値を比較した結果、健康経営を開始する前の5年以内では、売上高営業利益率の業種相対スコアは負を示し、業種相対で利益率が低い状況であることを反映している一方で、健康経営を開始した後の5年間では、業種相対スコアは正の値を示す傾向にあることが報告されています。

(出典:企業の資産形成・生産性向上との関係の経済学的検証. 山本勲 慶應義塾大学商学部 教授. 2022)

三菱UFJモルガンスタンレー証券では、健康経営銘柄に選定された企業の業績に着目し、調査分析を実施した結果、健康経営銘柄は「ボラティリティ(価格変動比率)」が有意に低いこと、また、純資産より純利益での株価対比の割安度が高いことなどを報告している。さらに、 「ESG(環境・社会・企業統治)」 の「S(社会)」指標の関連施策に対する取り組みの有無について、健康経営銘柄とTOPIX構成銘柄と比べると、健康経営銘柄の方が取り組み施策が多く、経営のコミットメントが相対的に高いことも明らかにされています。

(出典:企業の資産形成・生産性向上との関係の経済学的検証. 山本勲 慶應義塾大学商学部 教授. 2022)

平成30年度健康経営度調査の結果から、健康経営と企業業績との関係を調査した結果、「健康経営度調査に回答した企業全体の総合得点加重ポートフォリオ」「健康経営度調査上位20%企業の総合得点加重ポートフォリオ」を、2014年3月末から保有した場合、TOPIX指数と比較すると5年間で30%程度の超過リターンを得られることが報告されています。
また、超過リターンのうち、業種要因(業種特有の事情による変動)とスタイル要因(景気による変動)を除いた「銘柄固有リターン」は上向きになっていることから、健康経営を推進する企業は、「レジリアンス(耐久性)」が高いという示唆が得られています。

(出典:企業の資産形成・生産性向上との関係の経済学的検証. 山本勲 慶應義塾大学商学部 教授. 2022)

さらに、健康経営銘柄2021に選定された企業の平均株価とTOPIXの推移を、2011年9月~2021年9月の10年間で比較した結果、健康経営銘柄2021に選定された企業の株価はTOPIXを上回る形で推移していることも明らかになっています。

(出典:企業の資産形成・生産性向上との関係の経済学的検証. 山本勲 慶應義塾大学商学部 教授. 2022)

さらに、健康経営度調査の個社データを利用した経済産業研究所の分析(2021)における推計結果のまとめによると、健康経営施策と利益率には正の相関があることが示唆されています。

(出典:企業の資産形成・生産性向上との関係の経済学的検証. 山本勲 慶應義塾大学商学部 教授. 2022)

健康経営と労働市場の関係性

就活生及び就職を控えた学生を持つ親に対して、健康経営の認知度及び就職先に望む勤務条
件等についてアンケートを実施し、就活生が親の意見を参考にするか否か調査したところ、7割が考慮すると答え、就職先を検討する上で親が持つ企業イメージ・情報が重要な要素を占めることが分かっています。

その中で就活生が就職したい、および、親が就職させたい企業のイメージとして、「従業員の健康や働き方に配慮している」という回答が多くの票を得ています。

(出典:企業の資産形成・生産性向上との関係の経済学的検証. 山本勲 慶應義塾大学商学部 教授. 2022)

さらに、健康経営銘柄、健康経営優良法人における離職率を、全国平均の離職率と比較すると、約5-8%、離職率が低いことが分かっており、優秀な人材の採用や離職予防にも、健康経営は効果的である可能性が考えられています。

(出典:健康経営の推進について. 経済産業省 ヘルスケア産業課. 令和4年6月より転用)

平均年次有給休暇取得率や特定保健指導実施率に関しても、全国平均と比較して、健康経営銘柄や健康経営優良法人(ホワイト500)は、良好な数値を示しており、健康経営の取り組みと労働に関わる各指標とのポジティブな関連が認められています。

(出典:健康経営の推進について. 経済産業省 ヘルスケア産業課. 令和4年6月より転用)

SDGsと健康経営

SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。SDGsは2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標で、17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットで構成されています。

具体的な17の目標(ゴール)は、下記の内容です。

目標1・・・貧困をなくそう
目標2・・・飢餓をゼロに
目標3・・・すべての人に健康と福祉を
目標4・・・質の高い教育をみんなに
目標5・・・ジェンダー平等を実現しよう
目標6・・・安全な水とトイレを世界中に
目標7・・・エネルギーをみんなに そしてクリーンに
目標8・・・働きがいと経済成長も
目標9・・・産業と技術革新の基盤をつくろう
目標10・・・人や国の不平等をなくそう
目標11・・・住み続けられるまちづくりを
目標12・・・つくる責任 つかう責任
目標13・・・気候変動に具体的な対策を
目標14・・・海の豊かさを守ろう
目標15・・・陸の豊かさも守ろう
目標16・・・平和と公正をすべての人に
目標17・・・パートナーシップで目標を達成しよう

健康経営に取り組むことは、SDGsの目標3【すべての人に健康と福祉を(あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する)】に該当します。
そして、さらにその活動が浸透して定着していくと、目標5【ジェンダー平等を実現しよう(ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る)】目標8【働きがいも経済成長も(すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する)】にもつながっていきます。

つまり、健康経営に取り組むことが、直接SDGsの目標達成に向けた取り組みにつながっていくのです。

▶︎総務省「17のゴールとターゲット及び指標」

ESGと健康経営

SDGsとともに、よく耳にするのが、ESGという言葉ではないでしょうか。ESGとは、環境(E: Environment)、社会(S: Social)、ガバナンス(G: Governance)の英語の頭文字を合わせた言葉です。企業が長期的に成長するためには、経営においてESGの3つの観点が必要だという考え方が世界中で広まっています。

温暖化や水不足などの環境問題、人権問題や差別などの社会問題など、人類はさまざまな課題に直面しています。こうした中、2006年のPRI(責任投資原則)発足を機に、ESGやESG投資へ社会の注目が集まりました。持続可能で豊かな社会の実現を目指す「ESG」への取り組みは、今後も拡大していくと考えられます。

環境(E: Environment)

我々が暮らす地球は、人類が経済的な豊かさを優先して発展してきた結果として、さまざまな種類の環境課題を抱えています。最近の自然災害や観測史上最速の梅雨明け、突然のヒョウなどの異常気象は、記憶に新しい出来事ではないでしょうか。
世界が持続的な発展を続けるためには、国際的な対応とともに、企業や個人も環境課題の解決に向けた取組みを強化する必要があります。

E(環境)の評価においては、事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(スコープ1)だけでなく、間接排出(スコープ2)や、サプライチェーン・事業活動全体(スコープ3)の脱炭素化も考慮する動きが見られています。健康経営においても、スコープを自社だけでなく「サプライチェーン」や「社会全体」に広げる動きを促進していく方針が掲げられています。

(出典:企業の資産形成・生産性向上との関係の経済学的検証. 山本勲 慶應義塾大学商学部 教授. 2022)

実際に、令和3年度健康経営度調査では、(これまでの「取引先の健康経営の実施状況等の把握・考慮」の設問に加え、)取引先の健康経営の取組を支援し、その旨を対外的に公表しているかどうかを重視される設計になっています。

(出典:企業の資産形成・生産性向上との関係の経済学的検証. 山本勲 慶應義塾大学商学部 教授. 2022)

令和4年1月に中小企業庁が実施したアンケート調査によると、サプライチェーン全体の付加価値向上につながる取組として、大企業・中小企業ともに多くの企業が、取引先企業の健康経営の取組を支援していることが明らかになっています。

(出典:企業の資産形成・生産性向上との関係の経済学的検証. 山本勲 慶應義塾大学商学部 教授. 2022)

さらに、サプライチェーンにおいて健康経営を推進する動きが広がっている状況を踏まえ、令和4年3月末、パートナーシップ構築宣言ひな形に「健康経営に関する取組」が追記されました。

(出典:企業の資産形成・生産性向上との関係の経済学的検証. 山本勲 慶應義塾大学商学部 教授. 2022)

サプライチェーンにおける取り組み(取引先の健康経営の支援に関する事例)

健康経営優良法人2021(ホワイト500)であるアクサ生命保険株式会社は、健康経営の推進に貢献する旨をパートナーシップ構築宣言で公表し、各社の課題や状況に応じたプログラムの提供を通じて、多くの企業の健康経営をサポートしています。

(出典:企業の資産形成・生産性向上との関係の経済学的検証. 山本勲 慶應義塾大学商学部 教授. 2022)

社会(S: Social)

人類は、誰もが安心して生活できる豊かな社会を目指し発展してきましたが、実際には人々の生存や生活がおびやかされる社会課題が数多く存在します。利益を追求する企業や個人の行動が社会課題の多くを引き起こす面もあるため、より豊かな社会を実現するために、行動の見直しが求められています。

健康経営は、ESG(環境・社会・企業統治)における”S”に位置づけられます。機関投資家においては、健康経営優良法人の認定の有無をESGの評価基準に組み入れる動きも見られています。改訂されたコーポレートガバナンス・コードにおいては、「従業員の健康・労働環境への配慮」に関する記載が追加されました。併せて、経営戦略における「人的資本への投資」に係る情報開示にも言及されています。

(出典:企業の資産形成・生産性向上との関係の経済学的検証. 山本勲 慶應義塾大学商学部 教授. 2022)

”Social”における情報開示の優良事例

健康経営銘柄2021に選定された花王株式会社では、「社員の健康増進と安全」に関して、中長期的なビジョンに基づく具体的な取組内容とその実績等を一連のストーリーとして開示しています。

(c)Kao

▶︎Kirei Lifestyle Plan Progress Report 2021 – Kao

また、2021年1月~3月にGPIFが実施した上場企業向けアンケートの結果によると、ESG活動のテーマの中で「健康・安全」の位置づけが向上しており、これはESGと健康経営の関連性が密接な時代になっていく象徴であると捉えることもできます。

(出典:企業の資産形成・生産性向上との関係の経済学的検証. 山本勲 慶應義塾大学商学部 教授. 2022)

ガバナンス(G: Governance)

ガバナンス(企業統治)は、「企業が健全な経営を行うための自己管理体制」のことです。
不正会計や不適切営業など、日本でも世界でも、社会全体に悪影響を及ぼす企業不祥事が後を絶ちません。企業がしっかりとした管理体制を自ら備え、社会のルールを守ることが、企業と社会の持続的な発展の大前提となります。

健康経営の未来像・今後の方向性

健康経営は、①国の顕彰制度、②制度の民間運営化、③国際ルール化という流れで進んでいます。2022年度は②の制度の民間運営化のタイミングであり、日本経済新聞社が運営主体になりました。同時並行で一般社団法人 社会的健康戦略研究所を中心に、日本発で健康経営のISO規格をつくる動きが進められています。

さらに、経済産業省の資料には、下記の項目が今後の方向性として示されています。

・健康経営の深化に向けて、自社従業員だけでなく、サプライチェーンや社会全体へとスコープを拡大。
・健康経営に取り組むことが当たり前となり、評価する基準作りや質の担保を民間が主導する社会を目指す。
・健康経営を国際的に発信し、日本企業の国際ブランドに。

まとめ:費用対効果のある健康経営の取り組みを

健康経営の取り組みは、自社のみならず、サプライチェーンへ拡大したり、日本発のサービスとして海外への輸出する方針であることから、費用対効果の認められる、成果がでる健康経営施策の実績を積み上げていく必要があります。さらに、申請数が右肩上がりで増えているため、上位500社しか選ばれない、ホワイト500の認定取得は至難の業です。

当社では、最新のエビデンスに基づいた組織の業務パフォーマンスの可視化や、ポケットセラピストを通した心身の不調ケアを行い、生産性向上を支援しています(業務パフォーマンスの評価・改善が得意分野)。

健康経営優良法人(大規模法人部門)においては、下記表の赤枠部分の支援が可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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