医療職が解説!『健康経営に必須な”女性の健康”の基礎知識』イベントレポート

企業の成長を支えるためには、女性社員の健康と活躍をしっかりとサポートすることが不可欠です。

そこで、女性が直面する健康課題について具体的なデータを基に理解を深め管理職や男性社員がどのようにサポートできるかについて、具体的な方法やコミュニケーションのポイントを解説するセミナーを2024年8月22日に開催しました。

仕事のパフォーマンスへの影響から、今すぐ職場でできる対策まで、具体的なノウハウをお伝えしたイベントの様子をお届けします。

【登壇者紹介】
株式会社バックテック Customer Successチーム / Therapist Successチーム / 家泉 美希
理学療法士、全米ヨガアライアンス認定 ヨガインストラクター
理学療法士の国家資格取得後、11年病院勤務に従事。
病院勤務の側「悪くなったら病院へ行く」というサイクルを断ち切りたいという思いから、予防活動を始める。
行政からの委託で介護予防事業や、産前・産後の女性の身体ケアなどを行う。NPO法人の活動で、働く女性をエンパワーメントする活動にも注力。
2022年8月よりバックテックにジョイン。
「ポケットセラピスト®︎」というプロダクトに関わった人々の心身が健康で、毎日幸せに過ごせるよう、日々奮闘中。

女性の健康課題を数字で見る

いきなりですが、『女性特有の健康課題による社会全体の経済損失額』をご存知でしょうか。

年間でどれくらい損失額があるかという令和6年度の調査では、実は『3.4兆円』にも上ると言われており、かなりの大きい額であることが分かります。

この損失額の内容を『月経随伴症』『更年期症状』『婦人科がん』『不妊治療』の症状や病気で分類した表がこちらです。

月経随伴症』に関しては『パフォーマンスの低下』が最も高く、4500億と言われています。

更年期症状』の場合は『パフォーマンスの低下に加え離職』がかなり大きな損失額として出ています。 

さらに、パフォーマンスが半分以下になると答えた方が45%もいらっしゃいました。

皆さんの周りで、毎月パフォーマンスが半分以下になっている方が45%もいらっしゃいます。

周りの女性を見て、いかがでしょうか。「今辛そうだから、パフォーマンス下がってるな」とぱっと見て分かりますか?
すごく症状が重たい人は見るからに分かると思いますが、実はこのような悩みを抱えながらも一生懸命に仕事をしている方が非常に多いことが分かると思います。

周囲の環境は、女性の健康に知識、理解があると思いますか?』という質問では『ない・あまりない』と答えた方が65.9%いらっしゃいました。 

皆さんご自身で、自分の会社は従業員に『取り組みを行っている』と感じてもらえるか、という視点で考えていただけると良いと思います。 

多くの方が困っていて、パフォーマンスも下がっていて、悩んでいる方が多いことをお伝えしていきましたが、月経・PMS・更年期症状に対して『何もしていない』と答える方が圧倒的に多いです。

また興味深い調査があり、ヘルスリテラシーが高い人は仕事のパフォーマンスへのダメージが少ないということが分かっています。

つまり、正しい知識を得ることでパフォーマンスが上がることが分かっているので、例えばセミナーを受けるなど、正しい知識を得ることによって、日々のパフォーマンスに変化が生まれると言うことができます。

健康課題の鍵、女性ホルモンについて学ぶ

女性は『女性ホルモン』が分泌されていることは、皆さんご存知だと思います。

男性は加齢とともに病気が増えていく傾向ですが、女性はホルモンの影響を多く受け、若年から様々な疾患やトラブルが出現してきます。

女性ホルモンは分泌量全体で見ると大きな波になっており、人生で2回、出産と閉経のタイミングで大きなバランスの変化があります。

このような大きな変化に加えて女性は毎月、月経によって女性ホルモンの量に変化が起きています。

『女性ホルモン』についてお話していきたいと思います。

主に卵巣から分泌され、排卵や生理をコントロールしており、女性の心と身体の状態にとても大きく影響しています。

女性ホルモンの種類は2つあり、『エストロゲン』と『プロゲステロン』というホルモンがあります。

『エストロゲン』というホルモンの代表的な役割は、女性らしい身体を作ったり、自律神経を安定させてくれたり、肌のツヤやハリを保つような働きもあります。

『プロゲステロン』の代表的な役割は、体温を上げたり、食欲を増進させたり、体内に水分をキープしたり、眠くなる、イライラするなど、気分を不安定にするような働きがあります。

ぱっと見ると『プロゲステロン』というホルモンは、いいことをしていないように見えてしまうかもしれませんが、 『プロゲステロン』があることによって、女性は妊娠して子供を産むことができるという、とても大事なホルモンです。

先ほど、女性は人生で2回、出産のタイミングと閉経のタイミングで、 女性ホルモンに大きな変化があるとお伝えしましたが、その他にも約28日間で1つの周期とされている、月経周期があります。

その周期の中でも、女性ホルモンのバランスは大きく変化しており『卵胞期』『排卵期』『黄体期』『月経』と4つの周期で分けられています。

一方『黄体期』は気分を不安定にするような働きがある『プロゲステロンの分泌が高くなっているような状態です。
この時期は、多くの女性がPMSと呼ばれる不調に悩まされる期間でもあります。
『プロゲステロン』は子宮内膜が厚くなって、受精した際に赤ちゃんが無事に成長していける身体をつくるような役割をしています。

本来であれば、この周期に合わせて自分の予定をコントロールできればいいのですが、お仕事で「黄体期だから私はゆっくりします」ということは難しいと思うので、 セルフケアでコントロールすることが必要です。

エストロゲンの分泌量が減ってくるのですが、減っていることを脳がキャッチして「もっと分泌しなさい」と指示しても、そもそもの卵巣機能が低下しているので、『エストロゲンをたくさん分泌することができません

脳が「もっと分泌しなさい」と指示しても、卵巣からは出ない。また脳からの「もっと分泌しなさい」という指示が繰り返されることによって、自律神経の失調症のようなものが見られたり、様々な不調が現れます

例を挙げると『ホットフラッシュ』も不調の一部です。発汗や体温のコントロールがうまくできないことによって生じます。 

今までお伝えした中で、女性のホルモン分泌は人生の中で大きな波があり、さらに月の28日間の周期でも波があり、かつ、更年期のタイミングでも不調に悩まされています。

女性ホルモンによって様々な身体の変化があることが、皆さんに伝わったと思います。 

最初にお話しした、周囲の理解を促進していくことで女性自身も楽な気持ちになったり、 安心して仕事をすることができます。さらに、女性自身のリテラシーを高めていき、自分の周期について理解して、困った時に何をしたらいいかが分かると、とても良いと言われています。

管理職や男性社員ができるサポート〜コミュニケーションの注意点〜

最後のセクションで、管理職や男性社員ができるサポートをお話ししていきます。

まず1つ目『プライバシーの保護』についてお話ししていきます。
従業員からの相談内容が周囲に漏れることがないよう、十分な注意が必要です。

当たり前だと思う方が多いと思うのですが、重要な点は情報を共有するメンバー・伝達する経路などを本人と話し合って決めておくことです。

情報が漏れないように気をつけていても、相談する先や相談を受けた人が誰に繋いでいくかを決めておかないと、いろんな人に話が伝わってしまう可能性があります。

コミュニケーションの具体例では、女性社員から男性社員が相談を受けた後、その周囲の職場の方たちに「◯◯さん、生理痛ひどくて大変なんだって。助けてあげてね。」と声掛けをしたとします。

一見配慮していて優しい言葉だと思うかもしれませんが、本人の許可なく生理痛であることを伝えることは良くないことと言われています。
本人が許可をした場合は伝えても良いですが、本人の許可なく伝えることはおすすめしていません。

もう1点、例えば女性の婦人科系の疾患で手術することになった方から相談を受けたとします。
回答として「そういえば◯◯さんも去年子宮筋腫の手術をして大変だったって言ってたよ。みんな大変なんだね。」と答えたとします。

こちらも歩み寄ってくれて、優しい言葉だと思えそうですが、病気だった方を間接的に伝えてしまっているので、 良くないコミュニケーションと言えます。

皆さんはどうですか。うっかり言ってしまいそうだと感じませんか。

私は元々病院勤務だったのですが、その病院の特性上、女性スタッフが多かったのでこのようなケースがよくありました。私も生理痛がひどかったり、今までPMSに悩まされてきたので、お腹をさすって歩いてた時に、看護師の方に「生理痛大丈夫?」と言われ、なんだかみんな知っているような少し恥ずかしかった経験がありました。

自身が悩まされていなくても、身近な人が悩んでいる可能性がある、支援の必要があるという理解が進むと、職場の風土が醸成されていきます。 

なぜハラスメントが起きるか、原因について皆さんご存じですか?

女性の健康課題に関しては『リテラシーの低さ』と『業務の穴埋めを周囲の同僚や部下が担うことへの不満』が原因としてあります。

 具体的な例を挙げると、症状の辛さが分からないので「そんなに大変なの。」や「生理痛は病気じゃないでしょ。」と思う方もいらっしゃったり、ぽろっと不満を言ってしまって、ハラスメントに繋がるケースがあります。

また、よくある例だと思いますが、女性が自分の健康課題で仕事の量を減らすことになったり、辛くて休むことになった場合に誰かがカバーをして、その場合に不満が生まれ、そこからハラスメントが起きてしまうケースもあります。

業務を減らすことは難しいですが、例えば、普段から症状に悩まされている女性社員がいたら、その女性社員の仕事をしっかり上司の方が把握しておき、その人以外も対応ができるような状態にしておく。常にサポートできる体制をつくっておくことが、ハラスメント予防にも繋がります。

最後に、3つ目のポイントは『相談体制の整備』です。
上司との定期的な面談や、上司以外にも相談できる窓口の設置』『オンラインの活用など』があります。

上司と定期的に面談を行うことによって「実は悩んでいて...」ということを切り出しやすくなったりします。
改めて悩みを伝えるという形式にすると、言い出すことが難しくなってしまうので、普段からコミュニケーションをとる時間があると、伝えやすくなります。

また、女性特有の健康課題は女性の方が話しやすいので、女性が窓口になると良いと思いますが、なかなか難しい場合もあります。この時、特定の「この人に相談する」ということが決まっていたら、安心して相談ができます。

まとめ


どのように女性が困っているかを数字でお伝えしてきました。
たくさん困っている人がいて、その困ってる人があまりサポートされていないと感じていることも伝わったかと思いますし、困っている人自身も、何もしていない方の割合がすごく多いことをお伝えしてきました。

2つ目の『健康課題の鍵』というセクションで、女性ホルモンについてお話ししました。

男性だと、女性ホルモンについて知らない方も多いかと思いますが、女性自身も、自分の女性ホルモンのバランスについて、理解していない方も非常に多いです。
女性自身が学ぶ機会があることは、とても価値のあることだと思います。 

そして、3つ目に『管理職や男性社員ができるサポート』では具体的なコミュニケーションの例などもお伝えしました。

すぐに活かせる内容だと思っているので、ぜひ活かしてください。男性社員に限らず、女性社員もこういうコミュニケーション方法を知っておくことで、日々安心して生活ができます。 

女性が直面する健康課題について具体的なデータを基に理解を深め、管理職や男性社員がどのようにサポートできるかについて、具体的な方法やコミュニケーションのポイントを解説していきました。

本セミナーで共有した具体的なアプローチを、ぜひ貴社の健康経営活動にお役立てください。


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執筆者のプロフィール

青沼かをり

青沼かをり