キリンビール健保が実践するプレゼンティーズムを基軸とした健康経営への貢献

キリンビール健康保険組合
事業内容
キリンホールディングス株式会社を母体にキリングループ29事業所を包括した健康保険業務の運営
設立
1952年12月
加入事業所
キリングループ29事業所
被保険者数
15,393人(2021.3.31現在)
被扶養者数
14,802人(2021.3.31現在)
事業所
〒164-0001 東京都中野区中野4-10-2 中野セントラルパークサウス
URL
https://www.kirinkenpo.or.jp/

お話を伺った方

この度は、キリンビール健康保険組合の小林様にお話を伺いました。

母体企業の事業内容について教えてください。

1907年に創業したキリングループは、100年以上にわたって成長を続けてきました。
ビール事業から始まって、飲料など食領域において事業を展開し、1980年代以降に発酵・バイオテクノロジーを活用し、医領域へと事業領域を拡大させました。近年ではヘルスサイエンス領域において、グループの強みを活かした高い機能を有する商品・サービスを提供しています。お客様のさまざまなステージにおいて、クオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上に貢献する商品・サービスを提供し、社会課題の解決に取り組むことで、世界のCSV先進企業となることを目指しています

保健事業に力を入れている背景・キッカケを教えてください。

健保のミッションとして「加入者が生活するうえでの安心を提供するとともに、健康意識の高い加入者を増やすことで、加入者自身のQOL向上と事業会社の健康経営への貢献を目指す」と掲げており、公法人として求められることを行うのは勿論、企業健保が存在することの意味合いを考え、健康経営への貢献を目指しています

どのような背景からこのミッションを設定されたのでしょうか。

健保の存在する意味やその仕事の意義を健保メンバー自身が理解して業務に取り組めるようにと思いミッションを設定しました。健保の業務は、目立ちはしませんが、従業員の皆さまが安心して働けるベースとなり、また、その活躍をサポートする大切な業務だと思っています。健康経営への貢献の部分については、まずは、事業主がやろうとしていることをしっかりと把握し、その中で事業主の役割と健保としての役割・やるべきことを明確にしたうえで、コラボヘルスを推進することにより健康経営の一翼を担いたいと考えています。またミッションに紐づく形で「加入者のニーズを捉えること」「常に現状でいいかを考えること」「伝わるまで伝えること」「加入者、事業主、委託先の共感を得て協働すること」「常にアンテナを高く、自発的にスピード感を持って行動すること」「コミュニケーションを活発に」という行動目標を設定しています。自分自身も実践できているか、まだまだ怪しいところもありますが、これらのミッションや行動目標は事業計画や会議資料には必ず記載し、日頃から意識して発信することを心掛けています。

健保主体でプレゼンティーズムの可視化を実施した背景を教えて下さい。

プレゼンティーズムといってもその原因は様々あると思われますので、どのような疾病が仕事に影響を与えているのかを知りたかったからです。
実施してみて、様々な疾病が生産性に影響を与えていることが分かりました。健保としてそれらに対するソリューションをすべて提供できるわけではないので、もどかしさもありましたが、ミッションにもある通り、健康意識(ヘルスリテラシー)を高める取り組みを意識していきたいと思います。その結果、自身で課題解決できるようになってもらえると嬉しいです。例えば、健診・検診を受けること自体も健康意識を高める重要な機会ですので、「いつ」「誰から」「どのように」伝えるかなどを意識していきたいと思います。

プレゼンティーズムを可視化して意外だったことや保健事業に活かせたことについて教えて下さい。

肩こり、腰痛がプレゼンティーズムの大きな原因であることは想定していましたが、その人数の多さと損失金額が想像以上に大きく驚きました。疾病によっては一人当たりの生産性損失金額が非常に大きいことにも驚きました。グループ全体のプレゼンティーズムデータだけでなく、事業所ごとのレポートも作成してもらいましたので、各社がそれぞれのデータや特徴を把握することができたと思います。各社が健康経営を進めるうえで、少しでも参考になればと思っています。

キリンビールグループのプレゼンティーズム
(c)BackTech Inc.

ポケットセラピスト導入の背景を教えてください。

事業計画を検討する中で、既存事業で取り組んでいなかった視点で事業を考えた時にプレゼンティーズムと言う言葉を聞く機会が増えていました。さらに母体企業もプレゼンティーズムは課題と捉えていたことから、健康経営に貢献すると言う意味でも検討を開始しました。また実際にプレゼンティーズムサーベイを実施することで、プレゼンティーズムの大きさとその要因を把握できたことから、その改善のために導入しました。生産性の改善につなげるというポジティブな響きが魅力的に感じました。

ポケットセラピストに期待することをお聞かせください。

カラダの痛みがメンタルヘルスに影響を及ぼすとも聞いているため、メンタルヘルスへの好影響と、さらにプレゼンティーズム改善の効果を発揮できるものとなることを期待しています
実際に、ポケットセラピストを利用した従業員のプレゼンティーズムは改善効果が認められているようです

キリンビールの健康経営 | ポケットセラピスト
(c)BackTech Inc.

委託事業者との理想的な関係性についてのお考えはありますか。

委託先は健康増進施策のプロフェッショナルだと思っており、自分たちでできない部分をフォローいただけるパートナーと思っています。ですから、目標を共有いただいたうえで、コミュニケーションを取りながら、二人三脚で目標達成を目指せるような体制が理想的です。例えば、この加入者の利用が進んでいる一方で、なぜこの人が途中で離脱しているのか。また、それに対して健保としてどのように対応できるのかなどということを日常的に会話できる関係性を望んでいます。

最後に、健康保険組合加入者の皆様へのメッセージをお願いします。

従業員一人ひとりが日々活き活きと健康な状態で働くことで、常に高いパフォーマンスを発揮でき、働きがいを高めている状態を実現できるよう、従業員の皆さまが積極的に健康づくりを行うことができる環境・機会を作っていきたいと思います。

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