【エイジフレンドリー対応】ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは?企業が知るべき対策と職場での予防プログラム
高齢従業員の増加に伴い、エイジフレンドリー対応が注力施策になっている企業のご担当者様も多いのではないでしょうか。
中でも労働災害の防止と健康保持増進の両面で非常に重要な位置付けにある「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」は、推計4,700万人が該当するともいわれ、働く世代にも無関係ではありません。定年延長や従業員の高齢化が進む中、腰痛や肩こりといった身体愁訴が生産性を下げるプレゼンティーズムの要因となっています。
本記事では、ロコモの定義から職場での予防・早期発見の方法、企業が取り組むメリットまでを解説します。
目次
ロコモティブシンドロームとは?推計4,700万人が該当する運動器の機能低下
ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは、骨・関節・筋肉・神経などの運動器の障害により、移動機能が低下した状態を指します[1]。2007年に日本整形外科学会が提唱した概念で、要介護・寝たきりになるリスクが高い状態を意味します。
「4,700万人」とはどんな数字でしょうか。ロコモと特に関係の深い3疾患——変形性膝関節症2,530万人、変形性腰椎症2,790万人、骨粗魆症1,300万人——の推計患者数(40歳以上)から、ロコモを発症する可能性のある人は4,700万人と報告されています[2]。これは40歳以上の約半数に相当し、働く世代にとっても他人事ではありません。
ロコモリスクを高める4つの要因
1. 長時間の座位姿勢と運動不足
デスクワークが中心の職場では、1日8時間以上座りっぱなしという従業員も珍しくありません。長時間の座位姿勢は腰椎への負担を増大させ、下肢の筋力低下を加速させます。
2. 実は40代から始まっているロコモリスク
「ロコモは高齢者の問題」と思われがちですが、実は筋肉量は40代からすでに徐々に減少が始まっており、放置すればサルコペニア(加齢に伴う筋肉量・筋力の低下)へと進行します。定年延長・再雇用の拡大により60代以降も働き続ける従業員が増える中、40代のうちからロコモ予備軍に該当する人も少なくありません。
「まだ若いから大丈夫」ではなく、40代のうちから運動習慣を整えることが、長く働き続けるための土台になります。
3. 女性の方がロコモリスクが高い?
ロコモリスクには性差があり、女性の方が該当率が高い傾向にあります。これは、閉経後のエストロゲン減少によって骨密度が急速に低下し、骨粗鬆症を発症しやすくなることが背景にあります[1]。
また、男性と比較してもともとの筋肉量が少ないこともリスク要因のひとつです。女性活躍推進の観点からも、40代以降の女性従業員に対して骨密度測定や運動支援プログラムを提供するなど、年代・性別に合わせた健康支援の設計が重要です。
4. 腰痛・肩こりなどの身体の痛み
腰痛や肩こりといった身体の痛みは、それ自体がロコモの初期サインであると同時に、プレゼンティーズム(出社しているが、心身の不調により生産性が低下している状態)の主要因でもあります[3]。痛みを我慢し続けると、身体活動量の減少→筋力低下→さらなる痛みという悪循環に陥り、ロコモへの進行を早めます。
また、身体的フレイル(心身の衰えによる要介護リスクの高まり)が認知機能低下のリスク因子になることも報告されており、「たかが腰痛・肩こり」ではなく、早期の専門家介入が重要です。
💡早期発見からハイリスク者への対応方法
「ロコモ度テスト」実施時は”専門職の立ち会い”が望ましい
正確なスクリーニングには、**「ロコモ度テスト」(立ち上がりテスト・2ステップテスト・ロコモ25質問票)**が有効です。
ただし、立ち上がりテストや2ステップテストは転倒・転落のリスクを伴うため、安全に実施するには理学療法士や健康運動指導士などの専門家が立ち会うことが望ましいです。特に高齢の従業員や既に腰痛・膝痛の自覚がある方が参加する場合は、安全管理への配慮が欠かせません。
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まずは!社内展開で気づきを促す「ロコチェック(7項目)」も
「自分がリスクに該当するかもしれない」という気づきも重要です。日本整形外科学会が公開している「ロコチェック」は、「片脚立ちで靴下がはけない」「家の中でつまずいたりすべったりする」など、日常の動作や出来事から回答できる、7項目の簡易セルフチェックです。
心身両面からの不調把握と専門家への接続
ロコモ度テストやロコチェックでハイリスクと判定された方の多くは、腰痛・膝痛・肩こりなどの筋骨格系の痛みを抱えています。
痛みは身体活動量の減少を招き、筋力低下→さらなる痛みという悪循環を加速させるため、ハイリスク者への対応では痛みへの介入が最優先課題です。この領域では、理学療法士や健康運動指導士など専門家による個別指導のエビデンスが高く[3]、セルフケア指導だけでは改善しにくいケースでも、専門家が介入することで痛みの軽減と機能改善が期待できます。
社内に専門職がいない場合は、社外のオンライン相談サービスや外部の運動指導プログラムを活用し、ハイリスク者を早期に専門家へ接続する仕組みを整えることが重要です。
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これらの施策は職場環境改善として集団で行うことにより、従業員全体のロコモリスク低減だけでなく、ワーク・エンゲージメントやワーク・ソーシャルキャピタルの向上につながることも期待できます。
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まとめ:ロコモ対策による企業のメリット
ロコモ対策は、企業にとって複数のメリットがあります。
健康経営の観点:運動器対策は健康経営度調査の評価項目に含まれており、健康経営優良法人認定を目指す企業には必須の取り組みです[4]。
労災予防の観点:転倒・転落は労働災害の主要原因のひとつです。ロコモ予備軍の早期発見と介入は、転倒リスクの低減に直結します。特に製造業・建設業など身体を使う職種では、安全配慮義務の観点からも重要です。
生産性向上の観点:腰痛・肩こりによるプレゼンティーズムを改善することで、従業員一人あたりの労働生産性向上が期待できます。また、ダイバーシティ施策として、年齢を重ねても働きやすい職場づくりにもつながります。
働く世代にも無関係ではないロコモ。予防だけでなく早期発見が重要であり、ロコチェックやロコモ度テストを専門家立ち会いのもとで実施することで、安全にリスクを把握できます。
健康経営・労災予防・生産性向上の3つの観点から、企業にとって取り組む価値のある施策ですので、自社でもできるところから始めて行きましょう。
引用
[1] 日本整形外科学会「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」「ロコチェック」「ロコモ度テスト」 https://locomo-joa.jp/locomo
[2] 日本生活習慣病予防協会「ロコモティブシンドロームの国内の推計患者数は4,700万人」 https://seikatsusyukanbyo.com/statistics/2024/010811.php
[3] 厚生労働省「腰痛予防対策」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31158.html
[4] 経済産業省「健康経営ガイドブック2025」 https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_keiei.html



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